毒ガス発生??

2012.11.30@淵野辺

「毒ガスが発生しました。特殊実験棟にいる人は直ちに屋外に避難してください」

そう、館内放送があった。

「繰り返し連絡します、・・・」

毒ガスってなによ、ヒドラジン? いや、そんなのD棟にはないだろう。
じゃぁ、シアンとかフッ素とか?
薬品はいっぱいあるだろうからなぁ。
この間の東工大での火災のようなものかしら?

廊下に出て、D棟方向を見てみるが、煙が上がっているとか人の悲鳴がするとかいうことは全くない。
さっきまでと同じ風景。

とくだん大事ではないのだろう。

そう思ってまた部屋に戻って作業を再開した。

とはいえ、館内放送は事態の推移を教えてくれる。

「毒ガス発生当時、特殊実験棟にいた人は一旦駐車場にお集まりください。」
「名簿にお名前を記入したあと、食堂にお集まりください。」

事態は進行しているようである。
再び廊下にでて、D棟を見てみるが、さほど変化はない。
煙が上がっているとか、そういうことはない。
これは訓練なんだろうか、と思ってしまうくらい日常。

D棟に実験室を持っている同僚の部屋に行く。

ぼく:どうしたんですか?
同僚:設備のメンテナンスのときに薬剤を使ったらしく、その薬剤が反応しちゃったらしいです。

ぼく:大丈夫でしたか?
同僚:いや、ぼくは別の部屋で薬品処理にかんする会議にでてたのですが、会議中に司会者に電話が
   あって、「えー何っ!」と叫んで、「今日の会議は中止します」と宣言して出て行きました。
   ぼくはクリーンルームに人がないかを確かめて出て行きました。
   でもね、路上にながられていた水をリトマス試験紙で測ったら、pH10くらいでしたよ。

ぼく:薬品処理の会議中ってのがシュールですね。でも、結構な、アルカリですね。
同僚:そうなんですよ。もう救急車とか消防車とか何台も来てますよ。
   入り口にはトラテープで人払いしているし、正門にはテーブルが置いてあって「対策本部」が
   できてますよ(笑)。

そう話していたら、外にはヘリがやってきて旋回している。
今いる建物は日常が流れているのに、屋外は非日常らしい。

興味には負けてしまう。
早速守衛所前まで見に行った。
なるほど、消防車がいる。
1,2,3,4・・・、すごい数。

IMG_1082.jpg

そんなにすごいことが起きているのだろうか。
正門には本当に「本部」ができている。

IMG_1085.jpg

消防はすごい。
突発的にでも対応する、してしまう。
この本部がどれだけ内実があるのかは分からないが、ただ、意味があるから今もやっているはずだ。
現場では行動の結果がすぐわかる。
その原因もすぐわかる。
何よりも、失敗すると自分たちの生死に直接影響しちゃう。

感心してしまった。

げほげほ、別府日記(2)

2012.11.20@自宅

シンチレーションカウンタを持ち歩いている。
飛行機の中での線量を確認したいので、自宅近くはだいたい把握しているので、もっと別の場所はどのくらい汚染されているのかを知りたい。
これにはログ機能をもつ高い精度と早い反応をもつ線量計が必要で、夏に購入した。
それ以後持ち歩き、その能力を確認している。

羽田から大分まで飛行機内、および福島の影響は検知できないであろう別府の街の線量を計測するために持ち歩いた。
その結果が下の図である。
10分毎の計測値(uSv/時)で記録している。
自宅内は0.04、外は0.08、墨田区、葛飾区で0.1-0.13、長津田で0.01-0.02という値である。
なぜか宇宙科学研究所のA棟は入り口をくぐった途端0.1に跳ね上がる。
こういう記録が日々蓄積され、再現性が高く計測される線量計である。

別府線量.001.jpg(図1)持ち歩いた線量計計測値の推移。横軸は時間、縦軸は線量計の値10分平均値。

飛行機内は本当に線量が上がる。
宇宙空間由来のガンマ線が強くなる。
高度や時間によって顕著に違う値になる。
羽田から大分(昼)、と大分から羽田(夜)では倍近く違う。
世間で知識として語られていることを自分で計測すると、なんかよくわかった気分になる。
飛行機内は柏くらい、ということだ。

温泉地は高い。
大分の白菊という温泉宿に泊ったが、7階の部屋でも0.1レベルある。
街は場所によって違うので、温泉由来のガンマ線は温泉宿で強くでるということか。
外部被曝のことを考えれば、この程度の場所に住むことに緊張する必要はないだろう。
結婚して温泉街に住むことになった人が特段ガンになりやすいなどという話は知らない(あるのかどうかは知らないが)。
内部被曝についてはなんとも言えないけど。

まちなかを歩いているときの記録に際立って高い数値がでている。
本当に高い数値で、いったい何があったのだろうか、不思議に思っている。
場所としては、地図左にあるビーコンプラザから右のJR別府駅を抜けて10号沿いにある北浜バス停までのどこかになる。
歩く時間は20分から30分くらいかかった。
この線量計はきちんと「平均処理」をしているので、このピーク値は単なる一過性ノイズではない。
病院から漏れる?不法な協力電波をだすトラックとか、そういうレベルのものが原因ではない。
ちゃんとした線量を出す線源があったはずだ。



ピークはどのくらいか。
恐ろしい値でになっている。
8[uSv/h]なんて値、そうそうないだろう。

別府線量.002.jpg(図2)どのくらいのピーク値なのか

大発見?事故?線量計の故障?
その後の計測値を確認したが「全く正常値」であるので、線量計の故障とは考えられない。
一番良いのはもう一度測って再現するかどうかをみることだが、それはできない。
この件は、ぼくにとっては永遠の謎のままだ。
可能性としては次の2つ。

(1)本当にそのような線源がルート上に実在する(温泉の源泉みたいのがあって、そこがこの線量)
(2)線量計からパソコンにデータを吸い上げるときに何か問題がおきて、数値が「化けた」。

(1)の可能性も(2)の可能性も捨て切れない。
(2)については再現できないので真偽を確かめようがない(吸い上げるとデータは消えちゃうので)。

来年1月に再び温泉に出かける。
そこで再び計測してみようかと思っている。

げほげほ、別府日記(1)

別府温泉に行く。
出張なので一泊。
あす朝から学会に参加し、夜の便で帰京する。

もったいないなぁ、と言われる。
せっかくだからもっと泊まったらいいのにと。
学会は3日間開催なので、その気になればそれもできる。
が、学会にかこつけて保養してどうする。
毎日の生活はとても気に入っているので、自宅から離れたいとは全く思わない。
だからすぐに帰ってちゃう、というわけ。

一泊だから、ちょっと贅沢な宿に泊まろう。
ビジネスホテル一泊分は出張費でまかなえる。
どこに泊まろうとも一定額である。
ならば、差額を自分で負担することで、泊まる場所の選択の自由度は格段にえる。
今日は、学会会場に近く、かつ一泊2万円の旅館に宿を取ることにした。
部屋食だし、お風呂は綺麗で広い。
まったくもって、満足な夜を過ごせるはずである。

とはいえ、どういうわけか、こういう時は幸運と不運のバランスが自動に取られることになる。
昨夜から風邪をひきはじめ、昨夜は喉が痛くて2時間おきに起きた。
若干熱っぽいし。
これからせきが出るのだろうか。
せっかくの温泉が楽しめない、ということになる。
特に悪いことをしているわけではないのに、なして幸運がないかなぁ。
そういう思いがするが、しかしだからこそ、最悪のことに巻き込まれない人生を遅れているのかもしれない。
そう、理解することにした。

2012.11.19

ぼやっとした時、心に浮かぶ風景

体調が悪くなっていく予感がするような休日の午後、落ち着く音楽を聞いていると昔みた風景がありありと心に浮かんでくることがある。
どうしてだろう。
テレビ番組や奥さんとの会話でその風景に関係あることが取り上げられたわけではない。
ただ、どういうことかは分からないが、頭の中は記憶に占領されてしまう。

IMG_0917.jpg

ヴェネチアのトルチェッロ島だったか。
朝日を受けて輝く壁が綺麗でなぁ。
ごく普通の家で、こどもが出てきて、おばちゃんが花に水をあげていた。
周りの家もこういう感じ。
運河が近くまで迫っている小さな広場の真ん中には猫が寝てたりして。
不思議な時間だった。

世の中にはこういう風景の中で日常を過ごす人がいるわけだ。
社会に出ていく時、都会へ行く人もいるだろう。
いくらミラノの洗練されアパートの一室に住んでいても、この家での生活とはだいぶ違うはずだ。
南イタリアの開放的な雰囲気は悪くないが、きちんと片付けるという北イタリアのメンタリティーに慣れた人にはその乱雑さに耐え難い苦痛を感じるかもしれない。
ここで育った人は結局のところここへ帰ってきたいと思うだろうな。

とはいえ、こんな家を江東区に建てたら「勘違い」はなはだしいことになる。
車道しかないような街ではこの家は不釣合いだろう。
人だけが家の前を歩くような場所でないと。

2012.11.18