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グラスゴー日記(5)

十月二日木曜日

 明日で学会も終了する。ホテルは明日チェックアウトするので、ロンドンへの移動のために電車の切符を今日購入するつもりだ。
 飛行機だとロンドンまでひとっ飛びで行ける。それは分かっている。しかし、それではなんとも味気ないので、電車でゆっくりと過ごすことにした。旅行シーズンでもないし、普通の日だから電車は混雑していないだろう。
 それに電車での移動の経験値を増やしておくと、のちのち生きやすいかもしれない。日本では当たり前にできることでも、外国ではまごつくし、それが心労の原因となる。ガイドブックを見て知識を得ても、それだけでは安心できない。こういうことは体験するより身につく方法はない。たかが電車に乗るだけなのだ。さっさと実践あるのみである。
 
 本日の参加セッション終了エジンバラへ移動した。電車で一時間かからないし。エジンバラでお土産を買って、食事して帰るつもりできた。電車で三十分である。エジンバラでタータンチェックのカシミヤ製品を買った。駅からエジンバラ城へ向かう道の両側にそういうお店が何軒も並んでおり、四、五件入った。
 マフラーがいい。最初ウールのものにしようと思ったが、カシミアを一度触るともうダメである。カシミアしか考えられなくなる。どのお店もカシミアのマフラーは二十ポンド。マフラーのガラはいろいろあるが、メーカは二社のようで、どちらもスコットランドで製造されているメイド・イン・スコットランドのタグがあることを確認して買う。
 研究室の秘書さんへのお土産の数がだんだん増えていく。いろいろなことを秘書さんにお願いしていて、頼む人の数が増えているから。とはいえ、学会の旅費などの事務処理もいろいろやってもらったりする手前、メッタにない機会にはがんばってお礼することは人として大切だろう。

 エジンバラでの夕食はムール貝になった。一緒にいった人が地球の歩き方を熟読しており、そこでリコメンドされた店に行った。地球の歩き方の情報は鵜呑みにしないほうがいい。それは経験的にするはずなのだが、彼は違う意見らしい。
 開店時刻と同時に入店した。まずまずの席を獲得し、ムール貝だのパスタだのを注文する。しばらくすると来るわ来るわ日本人が。広い店はだいたいお客さんで埋まったが、そのうち三分の一は日本人だろう。地球の歩き方、おそるべし。
 さて、味の方であるがムール貝のスープの味付けがもうひとつだった。昨日食べたパスタ屋でのムール貝の方がずっとおいしかった。あんなに日本で売れているガイドブックなのに、どういうわけかろくな店が紹介されていない地球の歩き方である。
 今気がついたのだが、今日のガイド役をっかって出てくれた人と昨日行った店も地球の歩きかたでのお勧めだった。そのときはなんとも思わなかったが、地球の歩き方を頼る人はいつまでたっても自分で店の善し悪しを判断する能力を身に付けることができないだろう。
 ガイドブックを頼りにしてはおいしい店にたどり着くことはできそうもない。とくに、地球の歩き方からは。なぜなら、地球の歩き方に掲載されると日本人がどっと来るだろうし、そういう人は「味」を求めてきていないから何を出してもありがたがるので、店の方がおかしくなってしまうのかもしれない。

 ではどうすればいいか。ウエブやブログの紹介もすべては信用できない。旅慣れた人の紹介ならば試してみる価値はある。
 ぼくが気にいっている方法は宿をとったホテルの人に紹介してもらうことである。あまり高くないところがいいと言えば、そういう店を教えてくれる。もちろん、だからといってその店が本当にいいかどうかは分からない。
 もしもおいしかったのならば、そのお店の特徴を記憶すること。店の名前や場所ではない。店構えとか入る人出てくる人、外からのぞいたときの雰囲気などである。つまりは、自分にあったパターンを自分で覚えるのである。
 逆に、こういう店はダメだというパターンも掴めてくる。本の情報よりも、現場で感じた雰囲気のようなものをもっと信用していいし、人は生命体なんだからそれが信用できないのならば幸せに生きていこうなどと思わない方がいいだろう。

 エジンバラではちょっとした観光とお見上げ入手とそして海辺の町ならではの料理を食べることができた。値段は少し張ったが仕方ない。なにわともあれ、ガイドしてくれた人には感謝である。

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エジンバラ城へ続く参道

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海辺の町を一望する