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一風変わった昼ご飯

インスタントラーメンを作ってくれる

 出張先の職場での昼ご飯が変わっている。
 
 昼ご飯を食べるような食堂があるわけではない。かといって、コンビニがあったり弁当売りの人がやってくるということもない。しかし、ちゃんと昼ご飯を食べることができる。ちょっと驚いた。
 
 前日または当日の午前10時くらいまでに昼ご飯の注文をとってくれる人が会議室脇にほんとうにちょっとしたスペースにいる。おばちゃんである。注文としっても抵触ではない。パン(菓子パン)、お弁当、すし(これも弁当)、ラーメン、うどん、コーヒー牛乳などの飲み物が選択できるシートがある。パンは普通のスーパーなどで売っているような代物。ラーメンはみそ・しお・とんこつとある。うどんもある。値段は150円くらい。スゴイやすい。
 
 大手企業の社員食堂ではそれくらいのメニューがあるところもあるだろう。とすれば、なにが変わっているのか。
 
 そのラーメンはおばちゃんが給湯室のコンロでインスタントラーメンを作ってくるのだ。トッピングで卵などがえらべるのだけど、それはおばちゃんがラーメンを煮るときに一緒にいれてくるというもの。そう、おやつに母親がつくってくれるものとなんと違いもない。へぇ、そうなんだ。だから安いのか。
 
 パンも注文されたものをスーパーで買ってきてくれるというしかけ。弁当は弁当屋でかってきてくれる。そう、このおばちゃんは買い出しをしてきてくれるのだ。昼食の時間、なにがあっても会議室を空ける必要があるのは、そこが食堂に早変わりするからだ。12時になると、弁当だのパンだのが並べられ、ラーメンも食べる人が会議室に到着したのを見計らってつくってくれる。どんぶりやお茶などはおばちゃんたちが片づけてくれるから、昼ご飯が終了したらまたそこが会議室になる。
 
 忙しいといえば忙しいが、のんびりしているともいえる。仕事でやっているというよりも、この場所で働く人を村がサポートしてくれているという気分がする。もっといえば、かなり温かい。そこには商売のような気分がない。なにせ、代金もあとでまとめて、というところなのだ。
 
 性善説で仕組みをつくると、非常に安くまた温かいサービスが成立する。こんなよい世界があったのか、とぼくは感心するのだ。これも、この場所で働く人が「役人」や「勝ち組」の人間ではないからだと思う。支え合うという発想がない人がこの仕組みに紛れ込むと、他の人全員がいやな気分になるのだ。まったくもってしょうがないことである。
 
 そういうシステムは非常に危ういという気がするかもしれない。原理的には危ない。しかし、大きな社会ではないので、みな知った顔なのだ。知らない人が入り込むと、誰だろうかと皆が見る。そういう自然な形での監視機能が働いている。こういう仕組みは暗い方向へ発展すると、干渉がめんどくさいというものに変わってしまうのだけど。
 
 最大の敵は役人的メンタリティーだ。それは、責任を回避し威厳だけを取ろうとする人たちのことである。何をやっても、責任はとらない。全部他人のせいにし、自分は一生懸命やっているスゴイ人だと考える。そういう人は、びっくりするくらい社会に一杯する。おそらくは役人的という例えが意味をなさないくらい人がいる。人生を楽しみたいとおもうならば、そういう人が近くに来たらできるだけ早く逃げること。我慢していると、損なだけでなくそのメンタリティーに感染してしまうから。
 
 さて、この仕事場も急激に役人的メンタリティーの人が増殖してきた。びっくりするくらいである。よくもまぁ、今でもつづいてくれていると感謝する。あと2年は続いていて欲しいのだけど、どこまで可能なのだろうか。不安である。
 
 グレシャムの法則というものがある。悪貨は良貨を駆逐する。人の社会にも当てはまる言葉である。しかし、この職場の、こういふのんびりした温かい昼食は残っていて欲しい。ほんとに。

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