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vietatofumare.grazie のblog

どうしてなんだろうか。隅田川を眺めながら清洲橋で考えた。

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本とブログは連続ではない

出版編集者とのミーティングとタモリ倶楽部


 なにげなくタモリ倶楽部を見ていたら、ホリプロのマネージャーの鉄道好きの人が出版した本の売り上げ向上を目指したポップをつくるという内容で、書店の手書きポップ作りとしてその道では有名な人が何人か登場しポップ作りについて話をしていた。みなそれぞれ、その人が作ったポップのおかけで一つの書店で数百から千部という数の本が売れたこともあるという武勇伝の持ち主だ。確かに、書店で平積みになっている本にポップがたっていたら数秒とはいえ見てしまう。それが購買につながるといわれれば、そういうことが自分にもあったかもしれない。もっとも、それが原因で買った本が、必ずしも面白いことはないだろう。ポップよりも、本屋大賞の方が信頼できると思う。結局、ポップは衝動買いの最後の一押しだろう。

 さて、LinkIconホリプロマネージャの本はどういうものなのかということで、番組でいくつか朗読してくれたのだが、第三者に広く問うということや一般性のある体験談、あるいは知識の集積というものではなく、鉄の友達に向けた自慢話だった。説明無しの単語を頻発させ、個人的な感情を説明ぬきで並べているもの。普段本をあまり読まない人が作成する本であって、よくあるブログを本にしましたというたぐいのものだと思う。当然だが、売れないだろう。本はブログではない。ブログは自由に使えばよい。何を書いてもいい。それは個人のモノだから。いろんな人がいていいのと同じ。しかし、本は時間と場所を越えて伝達すべき内容を持っていないと安定に存在できない。「おもしろい」というのも立派な内容である。それは本の属性というよりも受信する人の属性に近い(あることを面白いと思う属性)ので、伝達する先がどれだけあるのかを考えてから本にすることになる。出版するのは自由だが、売れる売れないは自然法則に従うようなところがり、出せば売れるというわけではない。だから、本は自然と内容が自由でなくなる。いろんな本があってもよいが、いろんなものは売れないということになる。

 そう言えば、いま身近にいる先生が本を書こうとしている。その手伝いをしている。編集者の方がやんわりとガイドしてくれるが、あれやこれや今の段階では口を挟まない。先生が原案を持ってきて、ぼくが「そうじゃなくてこうしないとダメですよ」というやり取りを編集者を交えて議論している。こちらには出版までするくらいに記録しておきたい内容がある。どちらかといえば大学生に向けての本である。一方、編集者はそれがなぜ売れるのかという根拠をそれなりに積み上げようとする。購買対象の人数試算と買う人の動機などを想定して、こちらの本が売れるという企画を立ち上げる必要があるから。本を出版するのは、事業である。本の代金のほとんどは出版・販売にいたるための経費であって、そもそも儲かるような事業ではない。著者は売れたら貰えるし、売れなくてもいいやという面があるが、出版側は投資をいかに回収するのか賭けの面もある。

 そうなると、個人的な経歴や興味を書き綴った本が売れるには、書いた本人がただでさえ興味をもたれる必要がある。マネージャーではなくてアイドルである必要がある。そうでない人ならば、その人から離れて興味を持たれるような内容でないとだめで、したがって経歴や興味という内容では本は作れないという結論になる。だから、ホリプロの人は本ではなくブログ止まりの内容なのだ。

 では、そうしたらいいのか。答えは簡単だ。ホリプロのマネージャーの著者が語る話がダメなのであって、鉄の内容は面白いかもしれない。ならば、内容を著者から切り離せばよい。架空の人物がその本の内容を語ったり体験したりすればよい。要するに、小説にしてしまえばいい。よい問題設定とキャラ設定ができれば、一人立ちした本になるのではないか。

 大抵の人は自分を持ち上げたいと思っている。自分は偉い、自分は面白い、という他人への呼びかけを秘めている。それが自分についての本を書くという鼓動の動機である。文章を書く動機はなんだっていいのだから、それでもいい。本にしてもいい。ただし売れない。売れないから出版社は相手にしない。そういう単純な連鎖である。大抵のブログは内容によって本になったりしない。著者の有名度によって本になっている。普通の人が参考にするところは全くない。ぼくの想像だが、ならば普通の人はまずはじめに自分を文章に登場させない、自分の感想を自分の感情をつかって表現しないことである。一般的な表現するか、論理にするか、あるいは架空の自分がそう思っていることにするかであろうと思う。だから、ブログから本へは一気につながらないと思っている。